ここ数日の猛烈な暑さに、咲き始めた朝顔もゆっくりと眺める間もないうち、よれよれになってしまった。渋めの濃い紫に白がはっきり入っていて目にすがすがしく、夏が来たと知らせているようだった。
梅雨があける頃までに完成したいと思っていた革張りの人形をつないでみた。だんだん出来てきてはいたけれど、一週間くらい前の顔はまだ自分の顔になりきっていないような気がしてなんとなく落ち着かなかった。やっと、自分の顔になってきたような気がする。顔を作るとき、意識するのは陰と陽の表情だ。どちらに傾きすぎても満足できない。哀しげなのも明るすぎるのもちょっと違う。憂いを含みつつ、穏やかでしみじみと優しい表情がいい。
顔描きは新鮮さを失わないようにいきおいよくさっと決めたい気持ちはあるけれど、強くしすぎて全体のバランスがこわれると大切にしていた表情もこわれてしまいそうなので、少しずつ薄めに描いている。
時間の経過とともに革と木のコントラストが弱まり一体化してくるのが楽しみだ。