雨があがるごとに、季節は違った表情を見せてくれる。近所に木犀の木があるらしく、窓を開けると、時々部屋の中にまで甘い香りが入ってくる。夕方、日が落ちてから散歩をしている時にも、姿は見えなくても、どこからか甘い香りだけが漂ってくる。
人形をゴムでつなぐための準備をしている。
球体に鉛筆で印をつけ、電動ドリルで穴を開けていく。通したゴムが動いて関節が曲がるように、プツプツ開けた穴を彫刻刀で広げていく。ドリルの刃をあてる角度のかげんで、木が思わぬ方向にパキッと欠けてしまったりすることがあるので、とても緊張する。ゴムが通るかどうか、カーブをつけた針金で確認する。肩に近い方の腕の穴は、上と下から開けていく。うまくぶつかりあわなくてはいけないのでよりいっそう慎重に。
ピアノ線を入れる為の穴が、ちゃんと開けられるとひと安心できる。