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平田郷陽の人形

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佐倉市立美術館へ「平田郷陽の人形」展を観に行ってきた。途中激しいにわか雨に降られ、雨宿りをしながら美術館に向うと、すぐに陽が差してきて緑の木々がきらきらと光り、その先の小高い山の上に美術館があった。

可愛らしいものはどこまでも可愛らしく、美しいものはどこまでも美しく、自然な形、自然な動き、とても静かに、とても強いものが心をひきつけ時間を忘れて見入っていた。

独楽を回している男の子の瞳の奥が見たくて低くしゃがんで覗きこんでいるうちに、その子が見ているものがその目に写っているのではないかと思えてくるほどだった。



『歿後30年 平田郷陽の人形― 時代をリードした天才人形師のあゆみ ―』

〜8月28日(日)まで

佐倉市立美術館



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by hirokodoll | 2011-08-26 19:06 | 観た展覧会 | Comments(0)

夏のシャツ

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遠くでなっていた雷が、だんだん近づいてくる。雨の音が聞こえ細く開けておいた窓から土の匂いが入ってきた。

先日人形を買って下さった方から頼まれて、夏のシャツを作った。最後の仕上げのボタンホールをかがっていると、幼い日の記憶があれこれと断片的によぎっていった。

もの凄く楽しく遊んだ近所の子と、久しぶりに遊んでも、何かが違っていて、前ほど夢中になって遊べなくなっていたこと。あんなに楽しかったのにどこかが違う。向こうがどこか変わってしまったのか、と思っていた。今思えば自分も少しずつ成長して変わっていっていたんだと気がつく。あのもの凄く楽しかった日の、さよならする時の悲しさは、自分がからっぽになってしまったのではないかと思うほどの悲しさだった。

そして、あの楽しい時間にはもどれないのだということを、幼いながらもぼんやりと感じとっていたような気がする。



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by hirokodoll | 2011-08-19 18:54 | 人形の服 | Comments(0)

夏の記憶

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猛暑が続く中、朝顔の暑中見舞いを頂いた。涼しげでどこか懐かしいその絵を見ていたら、子供の頃の夏休みの記憶が浮かんできた。

一人っ子で両親と3人暮らしの私の家には、夏休みなどによく、同じくらいの年のいとこ達が何人も遊びに来た。家の中がいっきに賑やかになって、みんなではしゃいでくたくたになるほど遊んだ。そして帰る時になると急に慌ただしくいっせいに帰って行った。

みんなが帰った後、家の中がやけに静かになった。そこらへんに置かれていたバックなどの荷物もなくなって、部屋の中が妙にすっきりとかたづいてしまった。いつもの部屋に戻っただけなのに、しいんと静かで、どう言ったらいいのかわからない気持ちが、しばらく心の中に漂っていた。

暑くてたぶん今日みたいに蝉の声が大きく聞こえていた日だったのかもしれない。そんな心の奥底にしずんでいる、言いようもない子供ゆえの気持ちを、これからも忘れずに人形に重ねて作っていきたい。



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by hirokodoll | 2011-08-12 18:43 | 制作の想い | Comments(0)

写真を撮りながら

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先日の柴田悦子画廊での個展の後、手元から離れていく何体かの人形の写真を撮りながら、名残惜しさと、ほっとした嬉しさの入り交じった気持ちで眺めていると、人形の形そのものの方へ意識が入っていった。

形を作りこんで、細かく説明していくと、どうしても勢いや、流れが失われてしまう。一つ一つの形ははっきりしてきても、表現したい想いが、目の前にある形の上では、薄まってきてしまう。作るべき形をどう選んでいくか、想いを形にするには、何が必要なのかを、自分に問いかけながら作りたいと思う。

言いたい事の深さと、それを伝える為に使う言葉の量が必ずしも比例しないように、想いを形にする為に必要なのは、手を入れていく手数でも時間の長さでもない。もしかしたら、表面的な形を作るという意識や、完成させようという意識からもっと解き放されていくことができたら、求めている形に近づけるかもしれないと思えてきた。



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by hirokodoll | 2011-08-05 16:51 | 制作の想い | Comments(0)