<   2009年 05月 ( 5 )   > この月の画像一覧

小さな紫陽花

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寒い時期に活き活きと咲いていたパンジーがだいぶ精気を失いまばらになってきた。それと入れ替わるように、散歩をする道の端々に紫陽花の花を見かけるようになった。2年前幼なじみにもらった鉢の紫陽花も、植え替えてからはじめて花をつけた。黄緑色の小さい葉にたよりなげについた花は、こわがりの子供がかけっこのスタートラインについた時、回りの様子をキョロキョロ見ながら走りだそうとするように、ゆっくり色づきはじめている。花びらに雨の雫をあつめ、透きとおりそうに淡いブルーがいっそう初々しさを感じさせる。

今、制作している人形はいつものよりも大きいので、頭の部分は乾燥してひびが入らないように後頭部と分けて木をとった。ねんのために頭の中も曲がった丸ノミでくりぬいた。最後につなぐ時に首の下からドリルで穴を開ける時もひび割れ対策として深めに開ける予定。

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by hirokodoll | 2009-05-29 16:50 | 人形の制作 | Comments(0)

手の中の記憶

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50㎝くらいの人形にとりかかっていると、思いがけず懐かしいかんじが手の中にあった。人形を作りはじめて7、8年はおもに90㎝前後の大きな人形を作っていた。つたない技術ではあったけれど、頭で考えて作るのではなく心の底の方にある気持ちが手を動かしていたような気がする。

久しぶりに大きめの人形を作りだし、自分の心と人形の距離感がふと接近しているように感じた。思考ではない心の底にあるものが、かってに手を動かしている感覚が手からよみがえってきた。手の中の感覚に呼び起こされる、言葉では言いがたい記憶にはっとした。心と手の動きが無意識に重なっているかんじ。よけいな作為が遠ざかったのだろうか、すっと身が軽くなったような気がした。なにかもといた場所に戻ってきたような思いにも似ていた。

上の写真の紺のセーラー服の女の子2体はエコール・ド・シモン人形学校の教材の後初めて作った60㎝くらいの人形。6体並んでいるのはその後作った90㎝くらいの人形。


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by hirokodoll | 2009-05-22 16:44 | 制作の想い | Comments(0)

水の上の風

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週末ちょっとした用事ができて、実家に帰った。途中、電車の窓からは早朝の雷の余韻が残ったどんよりとした空が見えていた。埼玉と栃木と茨城の重なるあたりを流れる利根川を過ぎたころ、雲の切れめからすっと光がさしてきた。景色は住宅地から田畑が急にめだってくる。田んぼには水が引いてあるのが見える。ああ、こんな季節なのか、と思った。お正月とお盆にしかめったに帰ることがないから、この時期の景色を見るのは久しぶりだ。子供の頃、よく田んぼの近くで遊んだ。一緒に遊んだ近所の女の子達の顔が次々とつながって浮かんでくる。いちばん年下の泣き虫の女の子のなんだかおかしな泣き声、上の方から聞こえてくるヒバリのさえずり。稲の苗が水から緑色の頭を出し、きちんと並んでいるのを眺めるのが好きだった。水の上を渡ってくる湿気った風を体でおぼえている。

50㎝ほどの人形を作るための準備をしている。ごろんと大きな木は乾燥するとひびが入りやすくなるので、頭の後ろの方と顔の側は分けて木をとることにした。仏像なども後ろからくりぬいたりして乾燥してもひびが入りにくくしているらしい。胴体と足のももと二の腕は桐塑を土台に革を張って作る予定。全体のかたちのバランスを確認するために木で彫る前に石塑粘土で作ってみている。

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by hirokodoll | 2009-05-15 16:39 | 人形の制作 | Comments(0)

木との相性

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家から歩いて20分くらいのところに彫刻用の木を扱っている木材店「(株)堀川」がある。少し大きめの人形を作ってみようと思って、材料の木を見に行った。

いつも使っている桂の他に朴、檜、杉などいろいろな種類が置いてある。その中で今まで気がつかなかった、他でも見かけたことがない黄色味がかった白っぽい優しいかんじのヒバという木があった。どんな木なのかご主人にたずねると、仏像を彫る人もいるということで、「刃をあててみるといい」と言ってお豆腐くらい大きさのを下さった。

帰ってからノミや彫刻刀で試してみた。木が彫りやすいかどうかは、かたさだけではなく刃物との相性もあるから実際に彫ってみなくてはわからない。青森県に多くあるという雪国育ちの色白の木からスーっとした香りが広がってきた。調べると、虫に喰われにくくカビにも強い性質であるらしい。かたさは桂よりもやや柔らかく感じた。

翌日また同じお店に行った。ヒバにも惹かれたけれどまた桂を買った。木をじっと見ていたら長く飽きずに見ていたくなるのはやっぱり赤味がかった桂の方に思えたからだ。木は彫りやすいかどうかとても大切だけれど、それとは別に惹かれるかどうか木との相性があるような気がする。


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by hirokodoll | 2009-05-07 17:35 | 人形の素材 | Comments(0)

ほぼ完成

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高校時代からの友人が出品している国画会展を観に六本木の新国立美術館へ行った。観終わってから美術館を出ると明るい陽射しが気持ちよかった。さわやかな風に誘われ観光気分で歩いてみた。ビルの谷間の木々もきらきらと緑色に輝いている。向こうの方に、東京タワーがおもちゃのように現れた。

小さな人形がほぼ完成した。最後はこれで完成かどうかいつも迷うところだ。顔描きは手を入れようと思えばいくらでも入れられるし、磨きにしても磨こうと思えばいくらでも磨ける。でも単調になったらつまらない、どこで終わりにするかはおおいに迷う。でこぼこの部分と、すべっとした部分のバランス、顔の描きかたや体につけた陰影によっても印象が変わってくる。描写と質感、その関係はおもしろくてそしてとても悩むところ。

以前作った人形を見ると、色白だと思っていた人形もまた少しやけて色みが濃くなっていた。今作っている人形もこのまま時間をおいて落ち着いてくるのを待って様子をみてみることにした。


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by hirokodoll | 2009-05-01 17:20 | 人形の制作 | Comments(0)