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心を整えて

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昨年、秋に買った極浅の彫刻刀2本が、やっと手に馴染んできた。初めて上野の刃物専門店『宗意刃物』に行って、ズラッと並ぶ刃物を前に、ドキドキしながら買ったものだ。

それまで私が使っていたのより、刃も柄もしっかりした作りだ。でも、いくら刃物が良くても、ちゃんと研いでいなかったら切れ味は悪くなってしまう。買ってきたままのをしばらく使って、サクサクとした切れ味に満足していた。少し切れなくなってきたので、いざ、自分で研いでみると悲しいくらい上手く研げない。刃の丸みがもの凄く浅く繊細で、砥石に刃をあてる力と角度のかげんがつかめないのだ。

むきになりそうなところを、いったんあきらめ、数日してまた研いでみた。まだだめ、また数日して、まだだめ。そうこうしているうちに数ヶ月たち、やっと、こつをつかめてきた。

厳しい職人さんが見たら、全然だめだと叱られそうだけど、私の中では、まあまあ手が疲れない程度に研げてきたのだからいいとしよう。最初から上手くできるわけなんてないんだから。だんだんと上手くなってくればいいのだと、自分に言いきかせる。

新しい人形にとりかかる前には、念入りに、刃物を研ぐ。心まで研ぎ澄まされてくる、とまではいかないけれど、なんとなく、心が整ってくるような気がする。心の準備体操のようなものだ。

まず、大きな形を意識しながら、首や耳の位置をしっかりと確かめて彫り始めよう。

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by hirokodoll | 2008-06-27 17:34 | 制作の道具 | Comments(1)

完成と不完全の間

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先日まで作っていた人形は横目で眺めつつ、次の人形を作り始めることにした。なにも完成をあせらなくてもいいのだから、気長に手を加えよう。時間をおいて見た方がわかることもあるかもしれない。

どこで手を止めるかは、とても難しい問題だ。細部までどんどん作りこんだからといっても、人形の魅力が出てくるというわけではない。どこか不完全であることも必要なことだと思う。完璧なものには、心の入りこむ隙間がなくなってしまう。

個人的な感覚かもしれないけれど、何かにつけ少しいびつだったり、がさついていたり、欠けていたりする部分があるものの方に心が反応する。そういうものに愛嬌や親しみを感じる。いつの間にか、そんなふうに感じるようになっていた。

日常の中でも、少しいびつな野菜、不揃いのクッキー、左右対称ではない器、それと個性的な人の顔、新鮮さや味わい深さを感じさせるのはなぜなんだろう。

完成するということと、不完全であることとの間には、とても大切な問題がありそうだ。

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by hirokodoll | 2008-06-20 17:26 | 制作の想い | Comments(0)

眺めるのも作るうち

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完成一歩手前で立ち止まっている。

見ているうちに、ああすればよかった、こうすればよかったと、後悔の気持ちがわき起こってくる。別に〆切りに追われているわけではないのに、すぐに手を動かしすぎてしまったような気がする。あの時点で、もう少しこらえて形をえらんでいればよかったのではないか。もっとイメージを頭に描きだしてから、作らなくてはいけなかったのではないか。なんとか良くしたい、もっと、もっと、と、思いを抑えきれなくて、手を動かしてかえって何かをつかみそこねてしまったのではないか、

詩人、新川和江の”私を探す”というエッセイの中の言葉に、はっとさせられた。「朝起きて、心のかめに、一滴一滴情感が溜まってくるのを気長に待ってペンを執る」と書かれていた。難しい言葉がひとつも使われていない詩が凝縮力を感じさせるのには、ちゃんと理由があるのだ。

作っている時の自分を振り返っている。

 
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by hirokodoll | 2008-06-13 17:03 | 制作の想い | Comments(0)

完成一歩手前

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雨上がりに紫陽花が爽やかに咲いている。季節は初夏になった。

昨日、全体の形の流れや質感のバランスを確認するために、つないでみた。関節がちゃんと合っているか、つなぐ時はいつも心配だけれど無事につながると、ひとまずほっとする。

顔や髪の彩色は最後は全体を見ながら仕上げる。髪の毛の線が気になって磨いたところを少し描き足そうと思う。

今回は、子供の柔らかさや温かさを出す為に、いつもより磨いている。肩や腕ももう少し滑らかにしたい。でも全部つるつるになっても、面白みがないのでいい感じのところで、とどめておきたい。そこがなかなか難しいところだけれど。サンドペーパーで磨くだけではなく、綿の手袋をして撫で回してみたり、浅丸の彫刻刀の裏側を押し付けて滑らせてみたり、気に入った質感を探している。

何事も最後が肝心。彫りすぎたり磨きすぎたりしないように慎重に進めよう。

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by hirokodoll | 2008-06-06 17:13 | 人形の制作 | Comments(0)