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試行錯誤

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遅く咲いた八重の桜が昨夜の雨で、いっそう色を濃くしている。すこし離れたところから眺めると若葉に融け入るようなグラデーションが、しっとりと描いた墨絵を思わせる。

今、制作中の人形の足の平を彫っているところだ。木は同じ種類の木でも、彫る面によって固いところと、柔らかいところがある。足の平はどうしても木の伸びていく方向に対して断面の固いところが多いので、とても彫りにくい。刃を向ける方向によっても固さが違うから、少しでも柔らかい方向を探しながら彫っていく。

彫刻刀の持ち方も胸の前で持ったり、机の端に指をひっかけてみたり、力が入りやすい角度を探しながら進めている。彫るものの大きさによって椅子の高さを変えたりもする。自分のひじの高さと、机の高さのバランスも大切だ。

心の余裕がなくて、なんだか急いていたり、気持ちが落ち着かなかったりするといい角度を探すのがおろそかになってかえって手や肩に疲れをためてしまい効率が悪くなる。

これでいいのかと、常に自分に問いかけながら作らなくてはいけない。でも実際はわかつているつもりでもつい冷静ではいられなくなってしまう。この角度の時机に指をひっかけるのがベストなのかどうか。今はこれが一番いいと思っているけれど、もっといい方法があるのではないか。この姿勢でいいのか。

独学で木を彫り始めてから、工夫をしながら作ってきた。少しでもいい方法に気づいた時は、なによりも嬉しい。


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by hirokodoll | 2008-04-25 17:17 | 人形の制作 | Comments(0)

新しい試み

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小さなハートをつけて柔らかく茂っていたペンペン草も、いつの間にか背が伸びて野生みを帯びてきた。

今作っている人形の顔は、目の輪郭のオウトツをできるだけ抑えて彫っていこうと思っている。そうすることで、もっと全体の形の流れがつかめるのではと、思ったからだ。

この前のエコール・ド・シモン人形展に出品した人形は、光のかげんによって、彫りあとが目立って表情が少し見えにくくなってしまったような気がする。光によっていろいろな表情に見えるのはたしかに面白いことだ。でも光に左右されすぎるのも困る。もう少しベースになる表情がはっきり見えた方が印象が伝わるのではないかと思う。極端に変えるわけではないけれどイメージに近ずくようにじっくり進めたい。

自分にしかわからないような小さなことでも、新しい試みだ。

いつか、抑えた中にも深い抑揚のある形が作り出せるようになりたい。

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”おどろきの映像”です。

d0079147_17164389.jpg http://jp.youtube.com/watch?v=qBXr15K2uSc

フランスのマリオネット大道芸グループ、ロワイヤル・ ド・リュクス(Royal de Luxe)の『サルタンの象(The Sultan's Elephant)』

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by hirokodoll | 2008-04-17 17:14 | 人形の制作 | Comments(0)

今日出会った絵

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桜の花が風に舞うのを眺めながら、池袋にある『熊谷守一美術館』のギャラリーでやっている日本画家、岡本博さんの個展に行った。

初めてお会いした岡本さんは75歳という年齢を感じさせない軽やかな身のこなしで、次々とみえるお客様の応対をされていた。

岩絵の具で描いた日本画ではなく、墨と限られた色数でいきおいよく仕上げた絵がみずみずしかった。のびやかな線がご本人のお人柄を語っているような気がした。飼っていらっしゃる犬や人物が独特の構図の中に、温かく生き生きと描かれていた。(岡本博さんの個展が調布の『みるめgallery』で5月1日(木)〜13日(火)に開かれます。)

この美術館はJR池袋の西口から歩いて20分くらいのところなのに、周りはとても静かな住宅街で、木の葉が揺れてぶつかりあう音がサラサラと聞こえてくるほどのどかな雰囲気だった。美術館の壁の熊谷守一の蟻の絵が、風景にぴったりとけ込んでいた。守一の絵は厚ぼったい油絵よりも、虫などのデッサンの方がえがいている時の呼吸が感じられて好きだ。壁の高いところには蜂の絵もあった。

帰りに本屋さんで旧ソ連グルジア放浪の画家「ピロスマニ」の画集を見た。ちゃんとした絵の勉強はしたことがなく、たぶん教会の絵などを見ていたのだろうと、言われている謎の多い画家だ。画壇に注目されても放浪してしまい最後は街の片隅に一人倒れているところを見つけられ、今ではお墓がどこにあるのかもわからないらしい。プリミテイブに描かれた絵にシーンと音のない世界が佇んでいるようだった。

d0079147_17193824.gifニコ・ピロスマニ Niko Pirosmaniの画像等の見られるサイト
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by hirokodoll | 2008-04-11 17:07 | 観た展覧会 | Comments(0)

ことばの感触

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お茶の雑誌『なごみ』淡交社、を見ていたら、「白いお菓子」というタイトルで書かれた文章があった。お菓子と言う言葉に反応し読みはじめると言葉のひとつひとつが色や形、音になって妙に印象に残って離れない。蜂飼耳さんという詩人の方の文章だった。

詩と評論の雑誌『ユリイカ』4月号青土社にも、蜂飼耳さんの対談と詩が載っていた。詩の中の言葉の響きにふいに無防備な感覚を刺激された。『なごみ』で読んだ文章と同じように言葉に独特なリズムと感触があった。そして書かれていない何かが言葉の関係性によってふいに立ち現れてきた。

隠されている暗号を探すように言葉の世界に引き込まれていく。見えない何かが見たくって、同じ言葉の上を行ったり来たりした。

写真は、エコール・ド・シモン人形展の時に出品した新作。人形の手触りを感じていただきたかったので、会期中はできるだけ手にとっていただいていました。

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by hirokodoll | 2008-04-04 18:48 | 人形の制作 | Comments(0)