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展覧会の季節

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高校時代の先輩のSさんからご案内状を頂いて、六本木の国立新美術館でやっている独立展を見に行ってきた。卒業してから何十年もお会いすることがなかったが、3年くらい前にSさんが銀座で個展をひらいたのをきっかけに、展覧会の時にはお知らせしあうようになった。

久しぶりに銀座でお会いした時には、少しも変わっていない印象に、過ぎた時間の長さを一瞬忘れてしまいそうだった。話していると変わっていないのは雰囲気だけではなくて、絵に対しての静かで熱い想いも変わっていないのが伝わってきた。

油絵でお互いの全身像を毎日のように3か月もかけて30号に、描いたことがあった。3か月も飽きもせず、お互いの姿をじっと、くいいるように見ていたのだから、何十年たっても表情や動きは、頭の中に焼きついている。今思うと、2人ともあまり要領のいい方ではなく、ゆっくりとしたペースでしか歩けない性分が、似ていたのかもしれない。私の頭がすっかり人形でいっぱいになっている間も、ずっとSさんは油絵を描き続けていた。

美術館の白い大きな壁に、どんどん現れる沢山の絵の中で、遠くからSさんの絵を見つけた。混みあった待ち合わせ場所でも、親しい人をすぐに見つけられるように。


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by hirokodoll | 2007-10-26 16:20 | 観た展覧会 | Comments(2)

秋の色

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衣替えの季節がやってきた。いつもなら、このあたりの木々の葉も色づいて衣替えをする頃なのに、今年は暖かい日が多いので、少し遅れているようだ。

私は秋の色が好きだ。葉が緑から黄色やオレンジに変わってくるのを見るのが、とても好きだ。そのせいか、人形に着せる服の色も茶系をベースにオレンジやモスグリーンといった秋っぽい色を選ぶことが多い。長く見ていても心を疲れさせないし、あせてきてもなんだかゆるせる気がする。

秋の色には憂いがある。感傷的にもさせる。同時に実りの色、エネルギーがつまった色でもある。夕陽をあびて枝に光った柿の実の色、美味しい美味しい栗の色、そんな色に安堵感をおぼえる。

何かを見る時、それはいつも無意識に何かに重なっているものだと思う。心が惹かれるものをたどっていけば、きっと遠い記憶に結びついていくのだと思う。大きなどんぐりが落ちている秘密の場所、おままごとをして遊んだからすうりの実。澄んだ空気の中で、ゆれる葉を眺めていると、わくわくした気持ちがわき起こってくる。


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by hirokodoll | 2007-10-19 16:25 | 制作の想い | Comments(0)

画廊さがし

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ほんの1週間くらい前まで、散歩をする道に彼岸花が咲いていた。秋の澄んだ空気の中で通りかかって見るたび、周りまで染まってしまいそうな、真っ赤な色にはっとさせられた。

ちょうど昨年のこの時期、個展をするため、画廊をさがして歩きまわっていた。人形とファイルをかかえて何度も出かけた。自分の人形に興味を持ってくれて、長くおつきあいして頂けるような方に出会いたい。そんな方のやっている画廊で個展がしたい、と何年も思っていた。

いざ、実際にさがしてみると、なかなか見つからないものだった。知り合いがやったところで、感じがいいなあ、と思っていたところでも、自分にあてはめてみるとしっくりと合わない。画廊にだって、いろいろ傾向があったり都合がある。こちらのかってな思い込みで訪ねていっても場違いな気まずい雰囲気になってしまうだろう。冷静に自分の作品と照らしあわせなくてはいけない。でも考えているうちに結局よくわからなくなって、心にひっかかる画廊の方に、自分が個展をやりたくてさがしている、ということをできるだけお話してみることにした。

人によって、考え方や反応は様々なのだから、期待していないような言葉が返ってくるかもしれない。それは覚悟のうえだ。でも何かしら勉強になることもあるかもしれない。どう言われようと、どう受け止めるかが問題なんだ。前向きな気持ちでいこう。自分を励ましながら歩いていた。人形を入れたバックが肩にズッシリ重たくなってきたころ、銀座のネオンがキラキラとまたたきだした。

                
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by hirokodoll | 2007-10-12 16:44 | 人形の展覧会 | Comments(2)

宝物

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犬なのか熊なのか、はっきりしないこのバックは、私が幼稚園くらいの時に、母が作ってくれたものだ。洋裁が好きな母は、よくワンピースやスカートを縫ってくれた。これは夏のレースのワンピースの余り布で作ったバックだ。田舎の町で可愛い子供服など、たいして売っていなかった時代に、服とお揃いのバックなんて、もう嬉しくてたまらなかった。幼い私の目には、ちゃんと「犬」に見えていた。レースという素材も、うっとりと、夢見ごこちな気分にさせてくれた。

高校を卒業してから、ひとり暮らしを始める時も、これは持ってきた。何度も引越をしたり、結婚したり、住まいは変わってもこれは手元にあった。と言っても大切に箱にしまって、という訳でもでもなく、タンスのすみっこや、人形の服をしまう箱の中に入れてあったりするのだが、どこにあるかだけは、なんとなくいつも忘れない。

赤い時計。これも幼稚園くらいの時だったような気がするが、親戚の伯母さんからもらったアメリカのお土産だ。そのころ、ブランコが最高に高く上がるとアメリカがほんとうに見えるような気がしていた。木でできた時計の針は2:32分。動かない針を、ずっとワクワクしながら見ていた。

どちらも、今も私の大切な宝物だ。

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by hirokodoll | 2007-10-05 16:46 | 制作の想い | Comments(0)