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原型

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制作をしている部屋の中に、だいぶ前に作った顔の原型がいつも床にゴロゴロと置いてある。だから眺めるでもなくなんとなく視界に入ってくる。時々、あそこはああした方がよかった、こうした方がよかったと気になりだす。

写真の白い顔の原型は、20年近く前に作ったもの。張り子紙で作った人形の原型でつなぐと高さが110㌢くらいになる。桐塑(桐の木を挽いて粉にしたものに接着剤を混ぜて粘土状にしたもの)だと、大きな人形は、重くなりすぎて関節が壊れやすくなるので張り子紙で作った。

この方法で作るには、まず原型を石塑粘土で顔、胴、手、足、と作り石膏で体のパーツごとに型をとる。型に張り子紙を厚みがつくまで何枚も張り乾かす。硬く乾いたら、張り合わせて石塑粘土で形を修正して磨き、胡粉や顔料を塗って仕上げる。

張り子の人形は土台が何層も張り合わせた紙なので、ひびが入りにくく、軽いという利点がある。型を作るので、何体かはできるし、仕上げの石塑粘土のつけ方で違ったニュアンスの顔もできる。

でも途中の段階で、最後の出来上がりの雰囲気が見えにくいのが、ひっかかるところだ。素材によって、色々な特徴があるが、自分の今の気持ちが、作っている時に、スッと入っていけるかどうかが、素材を選ぶのに大きなポイントになっている。

下の写真は上の写真の原型から作った人形。1989年煉瓦画廊での個展「少年になる日」に出品

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by hirokodoll | 2007-08-31 17:55 | 人形の制作 | Comments(0)

電動彫刻刀

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荒彫りには、いつも電動彫刻刀を使っている。木彫りを始めた2000年に、できるだけ軽くて持ちやすそうなのを選んで買った。

私は手が小さいので、いくらパワーがあるのでも、持つところが太くて重たいのはすぐに疲れてしまう。普通の彫刻刀は木のところを少し細く削ったりして使いやすいように調節しているが、電動工具となると、そうもいかない。仕方ないのでいろいろ工夫してやっている。

重くないように、天井からつってみたり、自分のパンツのベルト通しに、腕の関節などにまくサポーターで電動彫刻刀をくっつけたり、なかなか画期的なものはないが、まあまあいいのは、自分の腕にサポーターで電動彫刻刀を一緒に巻きつけてしまう方法だ。

どうするにしても、私の持っているタイプは30分以上続けて使ってはいけないものだ。でも、彫っていると、つい夢中になって気がつくと30分を過ぎてしまうことがある。道具が熱を持ち故障につながるのでよくないのだが、自分の手の為にもよくないのだ。手も休ませながらでないと痛めてしまう。悪くすると治るまでにかなり時間がかかってしまう。ペンタイプの重くないものも売ってはいるが、長い時間使えば振動が手にあまりよくないのは同じだ。休み休みやるのが、道具にも私の手にもいいんだと思う。


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by hirokodoll | 2007-08-23 16:39 | 人形の制作 | Comments(0)

「修理」

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10年くらい前、ある本の中に出てきたイギリスの職人さんの見習いの子供達を作っていたことがある。先日、ワインバーに飾って下さっていた、お客様のところから、その中のペンキ屋さんの見習いの子供が、修理のために里帰りした。

傷の具合から、顔をぶつけたようだった。乾燥してひびが割れてきた傷ではないから、直してしまえば今後もそこが割れてくるということはないだろう。傷を見るまではどんな原因でのダメージなのか心配だった。

傷の部分に石塑粘土を薄くぬり、乾いたら細かいサンドペーパーでみがき、胡粉を練り、その中に何色かの顔料を混ぜて色を作る。少しでも違う色だと、場所が場所だけに目立ってしまう。できるだけ色を近づけていくのには心を静めて集中しなくてはならない。以前ちょっとした心のあせりから、色をほんの少し妥協して塗った為に、かえってすごく手こずってしまった事がある。2、3回乾かしながら色を重ねて様子をみる。

無事に修理完了。また、いつものお店の片隅に帰っていった。

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「葬儀屋の見習い」「鳥籠作りの見習い」「ペンキ屋の見習い」

「鏡の額縁作りの見習い」「お産婆さんの見習い」「質屋の見習い」

「点灯夫の見習い」「靴のバックル作りの見習い」「本屋の見習い」


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by hirokodoll | 2007-08-17 17:21 | 人形の制作 | Comments(2)

浴衣

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これでもか、というくらいの暑い日が続く中、5月の個展の時に人形を買って下さった方からメールが届いた。見ると赤いセーターにジャンパースカートを着ていた人形が、浴衣に着替えた写真が添えてあった。その浴衣姿が実に似合っていて、びっくりしてしまった。今まで自分の人形に浴衣を着せるという発想が浮かんだ事がなかったから、よけいに驚いてしまった。

胸に結んだ三尺が子供らしい可憐な雰囲気を出している。花の柄のムードもぴったり。身長25㌢の人形に、柄の大きさもぴったりだ。この暑い中を、せっせと冬のコートまで縫ったとのこと、冬のバージョンもいつか見られると思うと今から楽しみだ。

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写真を眺めていると、すずしそうな顔で、くつろいでいるように見える。こちらまで爽やかな空気が伝わってきそうな気がする。

幼い夏の日に、浴衣を着せられる前に、あせもができないようにベビーパウダーを首のまわりにつけられた時の、あの甘い香りがふうっと遠い記憶の向こうからよみがえってきた。





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by hirokodoll | 2007-08-10 17:01 | 人形の服 | Comments(0)

重心

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体を木で彫る前に、全体の形をもう一度確認してみることにした。部分を作る時にも、つねに体全体の形の流れを意識していたい。

デッサンや解剖図の本を見たりしながら、石塑粘土で胴体や足を作ってみた。出来上がった時に、グラグラとしないでしっかりと、支えなしで立てるようにしたい。途中の段階で、足や胴をつないでなくても、のせただけでも立っていられるか、横から見たり、後ろから見たり、重心のバランスを注意しながら作るように心がけている。


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by hirokodoll | 2007-08-02 17:34 | 人形の制作 | Comments(0)