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形と影について

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作業している机の上を、夏の日差しが容赦なく照りつけてくる。顔を作りながら形を見ていると、光の角度が変わっていくにつれ、影の形も一緒に変わっていくのがよくわかる。

ちょうど昨年の今頃、もう少しで仕上がりそうな顔の細部をじいっと見ていると、光の角度が変わっていく速度が早すぎてさっきまで見えていた形とすぐに違ってきてしまうのに、なんとも急かされているような、気分だった。影にふりまわされてしまうのだ。思っている形をつかまえられそうで、つかまえられない歯がゆさでジリジリしていた。

かといって人工の光より、やっぱり自然光の方が複雑な形までよく見える。今のままで、もう少し止まっていてほしいのに、と恨めしい気持ちだった。

でも考えれば、止まっていないからこそ、影がいろんな表情を作っておもしろいのだ。出来上がってから人形を見る時だっていつも光の具合が決まっているわけではない。その時、その時で、どんな表情に見えるか、影によって自分の思い描いていなかったものまで、見えてくるかもしれない。最近はそんな、おもしろさもふくめた上で形を探していきたいと思っている。


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by hirokodoll | 2007-07-27 16:15 | 人形の制作 | Comments(0)

ウォーミングアップ

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今年に入ってから、プランタン銀座での展覧会や個展の準備のために、けっこう人形の服作りが続いていた。久ぶりに木彫りをする前に、大まかな形の確認作業として、石塑粘土で顔を作ってみることにした。

石塑粘土をもり上げたり削ったりしている。

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時々チラッと見ているのは、数年前から気に入っている写真集 『芋っ子ヨッチャンの一生』影山光洋 新潮社、50年くらい前の子供の家族写真集。

耳の位置とか、首のつき方の確認中。






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by hirokodoll | 2007-07-19 17:23 | 人形の制作 | Comments(0)

骨格と形

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人形を作りながら、形のおおづかみなかんじを確認するために、よく骨格や筋肉のしくみがでている本を眺める。頭がい骨の形を前から、後ろから、横からデッサンして作ったカルテみたいなカードも机の上に置いておく。

頭の形も一人一人微妙に違っているから、どれが正しいとは言いきれないのが難しいところだ。西洋人と日本人の頭の奥行きも違うし、大人と子供でも違う。医学的に正しくても魅力的な形でなかったら人形として、つまらないものになってしまう。自分にとっての、いい形を見つけなくてはいけない。

顔の表情だけで、子供の可愛らしさを表現するのではなくて、全体の形から、子供の可愛らしさがにじみ出てくるようなものを作りたいと思っている。


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by hirokodoll | 2007-07-12 16:17 | 人形の制作 | Comments(0)

帽子と気配

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学生時代、国立に住んでいた時、紫陽花の咲く道に気になる帽子屋さんがあった。と、言ってもお店か、アトリエかもよくわからなかった。夕方、友人の家に遊びに行く途中の閑静な住宅街の中にそこだけポワーンと明るかった。柔らかなオレンジ色の光の中でいくつもの帽子が浮かびあがっていた。

オーガンジーが幾重にも重なっていたり、バレエのチュチュのようなリボンがついていたり、羽根がついている帽子はほんとうに軽やかに飛んで行きそうに見えた。ガラスの向こうにエレガントな夢のような世界があった。美しい女性が集ってティーパーティをしている様子を想像してみた。時間を忘れてしばらく眺めていたが中に人の気配がなかった。

何十年もたってからテレビで国立の街を紹介する番組で、そこが出ていた。若い頃、ヨーロッパで生活していた、おしゃれな老婦人のやっているアトリエだった。長年のなぞが解けた。もしかしたら、ほんとうに見たのか、実は夢だったんじゃないかと、思いかけていた。

5月の個展の時、画廊の壁に、幾つか帽子を飾った。ただ帽子を飾っているのではなくて、「誰かの帽子」でありたかった。誰かの気配を感じさせるようなものにしたかった。

「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」昔、角川映画の宣伝によくテレビで流れていた言葉、「西条八十」の詩集からの引用が、ふっと頭に浮かんできた。

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今も素敵な帽子を作っていらっしゃいます、

国立の帽子アトリエ関民さん

関民さん

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by hirokodoll | 2007-07-06 22:24 | 人形の服 | Comments(5)