2007年 07月 06日 ( 1 )

帽子と気配

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学生時代、国立に住んでいた時、紫陽花の咲く道に気になる帽子屋さんがあった。と、言ってもお店か、アトリエかもよくわからなかった。夕方、友人の家に遊びに行く途中の閑静な住宅街の中にそこだけポワーンと明るかった。柔らかなオレンジ色の光の中でいくつもの帽子が浮かびあがっていた。

オーガンジーが幾重にも重なっていたり、バレエのチュチュのようなリボンがついていたり、羽根がついている帽子はほんとうに軽やかに飛んで行きそうに見えた。ガラスの向こうにエレガントな夢のような世界があった。美しい女性が集ってティーパーティをしている様子を想像してみた。時間を忘れてしばらく眺めていたが中に人の気配がなかった。

何十年もたってからテレビで国立の街を紹介する番組で、そこが出ていた。若い頃、ヨーロッパで生活していた、おしゃれな老婦人のやっているアトリエだった。長年のなぞが解けた。もしかしたら、ほんとうに見たのか、実は夢だったんじゃないかと、思いかけていた。

5月の個展の時、画廊の壁に、幾つか帽子を飾った。ただ帽子を飾っているのではなくて、「誰かの帽子」でありたかった。誰かの気配を感じさせるようなものにしたかった。

「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」昔、角川映画の宣伝によくテレビで流れていた言葉、「西条八十」の詩集からの引用が、ふっと頭に浮かんできた。

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今も素敵な帽子を作っていらっしゃいます、

国立の帽子アトリエ関民さん

関民さん

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by hirokodoll | 2007-07-06 22:24 | 人形の服 | Comments(5)