夕暮れ近くなると、涼しげな虫の音が聞こえるようになった。高い松の木の上に出る月は十五夜に向かって日ごと丸みをおびていっている。
35㎝の人形の関節を作っている。月見だんごのような球体の形をサンドペーパーで整え、それを受けるお皿の穴を彫っていく。
まず、ももの高さや傾きを確認してから胴体の方に穴をあける。微妙な大きさの違いで、ちゃんと立たなくなってしまうので慎重に進める。木の固い面にあたる部分なので、電動彫刻刀の丸刀を使ったり、深く彫る時には横から見て少し曲線になっている刃も使ったりしている。
ももの上に胴体をそおっとのせてみる。お皿と球を普通の彫刻刀で微調整する。
膝の球も整え、ももの下側にお皿を作る。バランスを見ながらももをのせ、またその上に胴体を、そおっとのせてみる。
肩のお皿は正面と上から見て腕の位置を探す。子供らしいシルエットにしたいので、少しなで肩にした。続いて、ひじの球を整える。
関節が出来てくると、完成にぐっと近づいたかんじになって嬉しい。