秋を通り越してすっかり冬になって、やっと人形が完成した。でも、どおも終わった気分になれない。
頭の中の子供を、つかまえようと追いかけて、とどきそうになると、スルリと手をすりぬけて逃げていってしまう。ずっと追いかけっこの繰り返しのようだ。やっぱり、そう簡単にはつかまえさせてはくれない相手だ。
作った人形を見ていると、もっとそこのところは、ああしたかったのになあ、と残念な思いが膨らんでくる。あの時点での冷静さに欠けていたかなあ。あそこはもっと、あんな感じにしたかったんだけど、もっと慎重さと大胆さが必要だ、などと思えてくる。
よし、次の人形を作ろう。道具の手入れをしながら、気持ちを次に切り変える。この人形も、時間がたつうちにいつのまにか色が落ち着いてきて自然とよくなってくれたらいいなあ、と淡い期待をしながら。