10年くらい前、ある本の中に出てきたイギリスの職人さんの見習いの子供達を作っていたことがある。先日、ワインバーに飾って下さっていた、お客様のところから、その中のペンキ屋さんの見習いの子供が、修理のために里帰りした。
傷の具合から、顔をぶつけたようだった。乾燥してひびが割れてきた傷ではないから、直してしまえば今後もそこが割れてくるということはないだろう。傷を見るまではどんな原因でのダメージなのか心配だった。
傷の部分に石塑粘土を薄くぬり、乾いたら細かいサンドペーパーでみがき、胡粉を練り、その中に何色かの顔料を混ぜて色を作る。少しでも違う色だと、場所が場所だけに目立ってしまう。できるだけ色を近づけていくのには心を静めて集中しなくてはならない。以前ちょっとした心のあせりから、色をほんの少し妥協して塗った為に、かえってすごく手こずってしまった事がある。2、3回乾かしながら色を重ねて様子をみる。
無事に修理完了。また、いつものお店の片隅に帰っていった。
「葬儀屋の見習い」「鳥籠作りの見習い」「ペンキ屋の見習い」
「鏡の額縁作りの見習い」「お産婆さんの見習い」「質屋の見習い」
「点灯夫の見習い」「靴のバックル作りの見習い」「本屋の見習い」