これでもか、というくらいの暑い日が続く中、5月の個展の時に人形を買って下さった方からメールが届いた。見ると赤いセーターにジャンパースカートを着ていた人形が、浴衣に着替えた写真が添えてあった。その浴衣姿が実に似合っていて、びっくりしてしまった。今まで自分の人形に浴衣を着せるという発想が浮かんだ事がなかったから、よけいに驚いてしまった。
胸に結んだ三尺が子供らしい可憐な雰囲気を出している。花の柄のムードもぴったり。身長25㌢の人形に、柄の大きさもぴったりだ。この暑い中を、せっせと冬のコートまで縫ったとのこと、冬のバージョンもいつか見られると思うと今から楽しみだ。
写真を眺めていると、すずしそうな顔で、くつろいでいるように見える。こちらまで爽やかな空気が伝わってきそうな気がする。
幼い夏の日に、浴衣を着せられる前に、あせもができないようにベビーパウダーを首のまわりにつけられた時の、あの甘い香りがふうっと遠い記憶の向こうからよみがえってきた。