台風の風が吹き抜けて、青い空が高く澄んでいる。金木犀の甘い香りがどこからか漂ってくる。
34センチの女の子の関節の穴を開けている。いつもと同じ種類のカツラの木を使っているのに、今回の木はなんだかとても固い。同じ種類の木でもその度に、固さが違っているものだけれど、この木は驚くほどに木の目がぎゅっと詰まっている。
普段ならいっぺんに開けるドリルの穴も途中で止まってしまうので、細めの刃で開けてから太いので開けている。木の目の方向に斜めに穴を開ける肩のところは木が割れてしまわないように、特にハラハラする。
開けた穴にピアノ線を入れて関節が出来上がる。