お彼岸も近づき、爽やかな秋の風が吹く季節になった。
最近、公園を散歩していて気になるのは、犬を抱いて歩いている人が、けっこういることだ。ほとんど女性で、わりとお年をめした方が多い。小さめの犬だけれど、抱いて歩くにはちょっと重たいのでは、というくらいの大きさのまでいる。私は犬を飼ったことがないので、飼い主の気持ちを想像すると、可愛くて可愛くて少々の重たさなど苦にならいといったかんじなのだろう。温かさ、柔らかさ、重たさ、いとおしいものを心地よく腕の中で確かめているように見える。
幼い子供でもペットでも、重たさを感じた時、よりいっそう深く愛情を感じることがあるような気がする。重たさには、感情に訴えかけてくる何かがあるのだろうか。
そんなことを考えていたら以前に読んだ詩が頭に浮かんだ。
「人形」
ねころんでゐたらば
うまのりになつてゐた桃子が
そつとせなかへ人形をのせていつてしまつた
うたをうたひながらあつちへいつてしまつた
そのささやかな人形のおもみがうれしくて
はらばひになつたまま
胸をふくらませてみたりつぼめたりしてゐた
八木重吉 『貧しき信徒』より